December Out

特撮やらドラマやら映画やら何やら色々と…個人的に気になる事をつらつらと…自己満足です…

『卒業』×『ずっと続いていくもの』

皆様、こんにちわ。

新年度が始まり、慌ただしい日々が続いている方もいらっしゃるかと思います。

私はもう社会人数年目なので、そういった感覚すらもはや無くなっているのですが…

 

新年度や、新しい事が始まる前に、必ず起きる事があります。

そう、『卒業』です。

 

当たり前だろって感じですが、今回はそんな卒業に関して、ある少年の思い出をひとつ。

 

特撮ヒーローから卒業する男の子達

 

その昔、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』から戦隊ヒーローを見続けているある少年がいました。その年は『爆竜戦隊アバレンジャー』が放送中で、ジュウレンジャー以来の恐竜モチーフに歓喜した少年はアバレンジャーにゾッコン。通学カバンにはアバレンオーのキーホルダーを付け、意味もなくアバレイエローのカードを持ち歩く始末。

 

学校の休み時間、キモキモオタオタしてる少年に、ある少女が言います。

『まだそんなの見てるの?』

グサッ!!

いや、なんとなくわかっていたけど、グサッ!!

 

そうなんです。思春期を迎えるこの頃。周りを見渡しても戦隊ヒーローの話をしてる子なんていないんです。かつて見ていたはずのその他の少年達はいつの間にか『卒業』して、その他の事に興味を持ち出すのです。

 

ここで少年の頭の中に始めて、『戦隊ヒーロー』から『卒業』をしないといけない!!

と、謎の強迫観念に駆られるのです。

そして少年は、恐竜モチーフのジュウレンジャーから始まって、同じ恐竜モチーフのアバレンジャーで卒業するなら、なんだか切りがいいなと、謎の理由を付けてアバレンジャーを最後に『卒業』する事を決めます。

 

夏の思い出づくりのはずが…

 

アバレンジャーを思う存分楽しむ事を決めた少年。その年の夏、それまで訪れた事がなかった戦隊×ライダー夏の劇場版を見に行く事を決めます。

アギトから始まっていた夏の劇場版シリーズ。その時の少年は1人で映画に行く事もできなければ、一緒に見に行く仲間もいないため、テレビでやったら見ればいいかとそれぐらいの気持ちでした。

しかし最後と決めたアバレンジャーだけは映画を見に行きたいと、弟を連れて映画館へGOです。※ちなみに弟はホントに少年の弟か?というくらい戦隊に興味が無く、兄に付き合ってくれただけの優しい弟ですw

映画を見る前、『トップゲイラーがアバレンオーの背中に合体してスーパーアバレンオーになって最後勝つよ』と妄想を熱弁してたら、実際はそれにステゴスライドンもしっかり合体してキラーアバレンオーに。さらに必殺技は爆竜コンバインのオールスターと、まさに最後と決めた夏を占めるに相応しい内容で大満足の少年。

 

これで最後の夏が終わった。

謎の満足感に浸る少年。

しかしこの後、予想をしてなかった衝撃が少年を襲います。

そう、

『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』がメチャメチャ面白かったんです!!

ここまで戦隊しか話題に出してませんでしたが、少年はウルトラマンも見てれば仮面ライダーも見てるのです。戦隊が特に好きなだけで、この年の仮面ライダーである555も勿論視聴中です。

『いや、仮面ライダーの映画スゴすぎない?555メチャクチャ面白かったんだけど!!あの最後の黒いライダー何?観客何て呼んでた⁉』と、弟に捲し立てる様に話しかける少年。もしかしたら弟はそんな少年を見ながら、この先で少年が選ぶ道を理解していたかもしれませんw

 

ついに迎える最終回

 

放送が始まり、あっという間に1年が経ちます。

始まりがあれば終わりがある。

特撮ヒーロー番組はそんな当たり前の事を毎年教えてくれます。

アバレキラーの最後を受け止めきれない少年。

しかし、アバレンジャーのフィナーレに尊大な感動を覚えます。

『いやー、終わっちゃったなぁ。来週からはデカレンジャーからかぁ。まぁ(気持ちの上で)卒業はしたけど、たまに見るぐらいならいいよね。』と、お前はホントに卒業する気があったのかと疑われる程、曖昧な卒業観念で当たり前の様にデカレンジャー仮面ライダー剣の第1話を翌週も見るのですw

 

えっ⁉デカレンジャー、メッチャおもろくない⁉何このアクション⁉ヤバいんだけど⁉

えっ⁉何このライダー⁉暗過ぎて意味分かんないだけど⁉来週も見なきゃじゃん!!

 

ええ。

少年は卒業はできませんでしたw。

特に『仮面ライダー剣』は、そのお話が少年のドハマりで、少年はこれ以上にないくらいのめり込んでいきます。

結局、今までと同じ事を繰り返しているのです。

そして1年前の出来事が繰り返されます。

休み時間、いつもの様にキモキモオタオタしてる少年に向かって少女が言います。

『まだそんなの見てるの?』

グサッ!!

同じ事の繰り返しです。

しかし、この時は違いました。

少年の隣の席の少女はいわゆる不登校の子だったのですが、その日は登校する事に気が向いたのか、休み時間にしれっと登校し、この会話を聞いていたのかこう言い放ちます。

『えっ?私も見てるよ。だって出てる人カッコいいじゃん!!』

グサッ!!

えっ⁉いや、違う⁉ズキュン⁉てか、今何て⁉

その少女の言葉に少年はハッとします。

『カッコいい人が出てるから見てる…そういえば自分が何で特撮ヒーローを見てるかなんて考えた事もなかった。自分が見てる理由って…』

そして少年は気づくのです。

『自分は特撮ヒーローが好きだから見てる』んだって。

ものすごく当たり前の事ですが、この理由と自分の心に向き合う機会の無かった少年は、この少女のおかげでそれに気づきます。

そして、

『卒業する必要なんてないんだ。だって好きなんだから。』

この日、少年は自分が特撮オタクである事を自覚し、『特撮からの卒業』を『卒業』する事を決めました。

それに呼応するかの様に、(個人的に)圧倒的な盛り上がりでフィナーレを迎える『仮面ライダー剣』(オンドゥル語で散々叩かれたのは知っています!!だから、今さら手のひらを返す人は許せませんw!!)。

少年にとって『仮面ライダー剣』は、人生の分岐点ともなる作品になりました。

 

そして、現在…

 

特撮が大好きな少年は社会人数年目の大人になりましたが、その時に選び進んでいる道を楽しんでいます。

この道は自分なんかよりも遥か高みにいる人がいて、そんな人達の知識や意見に勉強となる毎日です。

この趣味が広がって、映画やドラマ等映像作品への興味は尽きません。

あの時、少年に大事な事を気づかせてくれた少女の言葉と少女には本当に感謝しています。

卒業』して新しく始まる事もあれば、『卒業』せずにずっと続いていく事がありました。

 

この季節、皆様にとっても何かずっと続いていく素敵な事に出会える季節となりますように。

ささやかな少年の物語でした。

 

 

 

ご精読ありがとうございました。